
この春より一年間、
有機農業塾に通うことになりました。
普段は講師として教える立場にいる私ですが、あたらしい学びの場を持ち、こちらでは多くの受講生とともに教えていただく側にいます。

植物のめぐみや香りを扱う仕事をしていても
都心に暮らしていると、土に触れる機会がとても少ないと感じます。
田舎で生まれ育った私は、祖母が行う畑仕事を眺めているのが好きで、ときどき「お手伝い」もしていました。
自転車にのって、桑の実を友だちと探しまわった放課後。
口いっぱいに頬張った甘酸っぱい味と香りは、あの頃の記憶とともに鮮明に刻まれています。
でもいまは「土いじり」も「木の実さがし」も特別なものになってしまって、そのチャンスはほとんどありません。

いまできる、もう少し、土に近い暮らし。
すぐに郊外に移り住むことは難しくても
意識ひとつ、工夫ひとつで
もっと自然や植物のめぐみと触れ合うことができる。
消費するだけの毎日からシフトして
できること、伝えてゆけることが
きっと、もっとある。

何十年ぶり?に鍬(くわ)を持って
耕した土の中から突然現れたナナホシてんとう虫。
春風にのってやってくる土の香り。
深く呼吸していること、循環の輪のなかにいることを、ひしと感じた瞬間でした。
既存のアロマセラピーの、その先へ。
植物たちとその香りのあたらしい魅力を、少しずつ、みなさまにお伝えしていけたらと思っています。
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